美容イメージのクリニック。皆さんは何科の診療をするというイメージが強いですか?
そうですね、美容を前面に出した(医療法では”標榜”といいます)クリニックという点で歴史も長く、街のあちこちで見かけるように”美容外科”が多いですね。
さて、ここでひとつ質問です。
皆さんは保険診療と自由診療の違いをご存知でしょうか?(知っている方は飛ばしてくださいね)病気でお医者さんにかかったとき、健康保険がきくのが保険診療、きかないのが自由診療。ご承知のとおり、保険診療では通常3割負担ですが、自由診療では10割つまり全額自己負担となります。
さきほどの答え。美容外科を標榜しているクリニック医療機関は自由診療です。
実は、美容外科は医療法という法律で認められた30数種類の標榜科目の中でただひとつ自由診療100%(自由診療オンリー)の科目です。
最近は大きな大学病院や総合病院の中に美容外科を標榜するところもありますが、美容外科を受診する人へのメニューはすべて自由診療の扱いです。
美容外科の主なメニューには以下のものがあります。(日本形成外科学会HPより)
■まぶた:二重瞼、しわたるみ取りなど
■鼻:隆鼻術、整鼻術、小鼻形成術など
■顔の若返り(しわ、しみ):フェイスリフト、ケミカルピーリング、レーザーリサーフェシング、コラーゲンやヒアルロン酸の注入など
■顔の輪郭形成:エラや頬骨の張りなど顔の骨格形成
■乳房:豊胸術、乳房固定術、乳房縮小術など
■肥満:脂肪吸引術など
■毛髪:脱毛術、植毛術
■他:ほくろのレーザー治療など
例えば事故や災害などで大きな外傷を負った人はどうするの?といった疑問もでてきます。実はそういった患者さんの治療(保険診療)にあたるのが形成外科という科目です。
そしてこの形成外科の専門医がいる大学病院や総合病院が、美容外科も標榜するようになっているのが最近のトレンドです。
欧米では形成外科が(日本でいう)美容外科の主流になっているくらいです。
日本では日本美容外科学会というお医者さんの同名の団体がふたつあります。なぜそういうことなっているかというと、実は形成外科という専門分野から美容外科に取り組んでいるドクターたちと、最初から美容外科を標榜するドクターたちとの間にいろんな確執があるんですね。
消費者にはあまり知られていないことですが、こと美容に関する問題。クリニックやドクターを選ぶときには必要最低限、知っておくべき事実です。(ゼロポジション。次回に続く)
このあたりの事情については、参考までに日本形成外科学会の情報をご覧ください。