お肌(美容)のことにも様々に影響するからか、最近は貧血対策や症状緩和のお薬の宣伝もよく目にするようになりました。
今回は、女性に多い貧血という現象を東洋医学の側面からとらえてみましょう。
東洋医学の分野では貧血状態を血虚などと言い、普通に血の不足した状態を指しました。
体内をかけめぐる血液は、食物等から取り入れられた栄養分が血管に入って全身をかけ巡り、組織全体に行き渡るその働きとして考えられています。
すなわち血虚とは相対的に栄養状態の悪化をいい、それが気の減退にまでつながってゆきます。
そこで栄養の吸収、代謝などをよくして、気を充実させながら血を補うのが良いと考えられます。
そこでまず「脾胃(ひい)」の機能を高めることが優先されます。(補気・補血)
「脾胃」というのは「消化吸収」を指しています。
まず消化吸収機能を高めてゆくところから出発します。
では、貧血の人特有の症状について少し触れてみましょう。
貧血になると体内の水分代謝が不十分なために「体内の水の偏り」というのが起こります。
消化器官に余分な水が停滞気味になるので、胃で「チャポチャポ」と水の音がしたり(胃内停水)、体の一部にむくみが発生したり、おしっこの出がわるかったり等の異常が生じてきます。
こういった症状が出てくると、水分代謝を元に戻してゆかないといけません。
さらに女性の場合、お血(おけつ)にともなう月経異常などの特有の症状も考えないといけません。
貧血を改善するといっても、総合的に水毒(すいどく)・お血・精神状態などに配慮して、処方を決定してゆく必要があります。
次回、貧血改善の漢方処方について。(松田昇、薬剤師、東洋医学研究家)