古くから 「古血」 や 「悪血」 とよばれ 「皇漢医学」 という書物では生理的機能を失った血や、
血栓を示すと言われれています。
辞書の 「字源」 では、血液の循環が悪くなって起こる病気で血液の鬱滞(うったい)の状態をあらわす、となっています。
東洋医学一般では、血液の一定の部分に血行の良くないところがあって、血流に停滞を起こしているという場合に
「瘀血がある」 と称しています。
具体的にはどんな状態をいうのでしょうか?
古文典から総合しますと、
1、大脳、間脳系の失調による物忘れ、精神異常や感情失調、のぼせやめまい、頭重感
2、血行異常を示す手足の冷感や麻痺、全身や手足の灼熱感
3、皮膚や粘膜の変化・・・皮膚の斑点や着色、皮膚の知覚異常や乾燥肌、ボロボロと皮膚が剥がれるなど
4、腹満感といい下腹部の左側を強く押すと抵抗物に触れるいわゆる抵抗や硬結がある場合
(子宮筋腫や腫瘍もお血に属するもので、虫垂炎もその一種とされています)
5、月経異常や産後の違和や不妊症、更年期障害による内分泌機能の失調や自律神経の失調
6、さらに一切の出血傾向 (内出血によるあざ)
東洋医学では「お血」は先天的にも後天的にも生ずるものとして、熱性病、内出血、月経異常もその因とされています。
打撲や内出血を起こした時に使われるのもそのことを意味しています。
ちなみに、お血の傾向の根底には、内分泌障害、それに伴う自律神経失調があるものと考えられます。
お血を排除する生薬を 「駆お血薬 (く・おけつやく)」 と呼びます。
「桃仁(とうにん)」 「牡丹皮(ぼたんぴ)」 「川芎(せんきゅう)」 「芍薬(しゃくやく)」 「地黄(じおう」
「蘇木(そぼく)」 「水蛭(すいてつ)」 などがあります。
(東洋医学研究家、薬剤師、松田昇)