「咳喘息」は近年になって知られるようになった病気で、その患者数はまだ正確に把握されていません。
もともと「喘息」というのは主として空気の通り道である気管支の粘膜に慢性的な炎症がおこり過敏になる病気をいいます。
過敏になった気管支は刺激を受けて内腔が狭くなり、やがては空気の通りが悪くなって「喘息発作」が起こってきます。
この喘息の特徴ともいえるものに「ゼーゼー、ヒューヒュー」という「喘鳴(ぜんめい)」があります。
「喘鳴」とは狭くなってしまった気管支を空気が通る時の音を言います。
この点が喘息かどうかを見極める方法であり、咳喘息との違いになります。
一方、「咳喘息」は、喘息ほど気管支の内腔が狭くなっていないため「呼吸困難や喘鳴はない」のに咳が慢性的に続くのが特徴です。
「喘鳴」がないため、患者さん本人も病気という意識があまりありません。
夜間によく出る咳を、単純に風邪だと思ってそのままにしておいて、かれこれ2~3ヶ月後に通院して「咳喘息」と診断されたという実例もあるぐらいです。
「咳喘息」をそのまま放置するとほんとうの「喘息」に移行してしまう可能性もあります。
早目に気づき適切に対処をすることが重要です。
(東洋医学研究家、薬剤師、松田昇)