団塊の世代が「歳はとりたくない」と思う理由のひとつに尿漏れがあります。
尿もれは歳とともに衰える排泄機能で仕方ないと言えばそれまでですが・・・
予防策のひとつとして、飲む水分量を把握しておくことが大事です。
夏場は水分補給をこまめに行う必要がありますが、
涼しくなり始めて飲んだら出てしまうからと飲む水分量を加減するのはかえって問題があります。
成人一日あたり、体重や運動量にも左右されますがおおよそ2000~3000ml位で
飲み物からは900~1400ml位の摂取が標準です。
涼しくなってきて、尿もれを気にするあまり、水分量を控えるとかえって便秘や膀胱炎になりかねないのでご注意ください。
【尿もれの原因と漢方】
肥満や便秘は骨盤底筋に負担をかけ腹圧性の尿失禁の原因ともなります。
また、尿もれを意識し過ぎて、早め早めにトイレにゆくクセがつくとかえって悪化する場合もあります。
ある程度尿意を我慢して膀胱の伸縮性を向上させる必要もあるのです。
漢方で言うところの実証の方には、
下部の熱を静める「竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)」があり、排尿時の灼熱感を抑えます。
膀胱や尿道の炎症からくる頻尿や尿漏れ、下痢を伴う頻尿には「猪苓湯(ちょれいとう)」がピッタリ。
中間証にの方には「八味地黄丸(はちみじおうがん)」が有効です。
この処方は下半身の機能低下には絶大の効果があり腰痛や腎炎、前立腺肥大、脚気等のいろいろな症状に効果があります。
上記の症状に加えてむくみや尿量の少ない向きには「牛車腎気丸(ぎゅうしゃじんきがん)」が適しています。
また冷え性で胃腸の弱い方の膀胱炎からくる頻尿や腹圧性の尿失禁には「清心蓮子飲(せいしんれんしいん)」という処方があり、尿路の熱や腫れを引き、尿の出をよくしてゆきます。
「八味地黄丸」は団塊の世代を中心とした男性にはかかせることのできない処方です。
ある方など、尿もれで飲みはじめたところ、気にしていた下半身の機能低下にも効果が出た。
悩みの種だったインポテンツに効果があらわれて、そちらの方を喜んだといったお話もあります。
ただし、地黄(じおう)が処方されているので、胃腸が弱くすぐに胃がもたれたり、食欲のあまり無い方など、胃腸障害のある人には不向きです。)
今日お話した処方はどれもドラッグストアでも手に入ります。
最後に、最近よく目にする「クランベリー」は尿の臭いの元となる細菌の繁殖を防ぎ、尿の臭いを抑える効果があり、ジュースとして飲むのもよいと言われています。(東洋医学研究家、薬剤師、松田昇)