美容という2文字を標榜(広告訴求)できるのは、法律(医療法)では「美容外科」だけというのは前回(3月14日)書きました。(ちなみに美容整形、美容整形外科という言葉は今では使いません。というか法律上、使えません。)
しかし”美容をイメージする”クリニックというのは、実際にはもっとたくさんあります。
皮膚科、婦人科(レディスクリニック)、最近ではアンチエイジング(抗加齢)クリニックなどもあります。眼科でもコンタクト(自由診療)も取り扱うクリニックや、歯科でも矯正歯科では、一部、美容イメージがあります。
審美歯科なんていうのも、なぜか?あります(標榜科目として審美歯科は認められていません)
でもよ~く見てください。
玄関や受付・・・、いや、エントランスやフロントが、エステサロンのような造りで、クリニックの名前も横文字、ロビーに置かれているのがファッション雑誌などなど、美容イメージがすごくあるクリニックでも、看板などには、美容の”美”の字も使われていません。
患者さんの立場では、非常にまぎらわしいことですが、でもクリニックを経営するドクターの立場に立って言うなら、これは仕方がないことなんです。
なぜなら美容を標榜できるのは美容外科だけです。しかし美容外科では自由診療しか行えません。患者さんが健康保険証を持参して診て欲しいと言っても美容外科では対応できないんですね。
ですから、健康保険診療も行いたいクリニックでは、本業の科目(皮膚科など)を標榜し、美容という言葉を使わずイメージで勝負しているのが実情です。
本当にまぎらわしい事なんですが、実は、このような状況は制度・法律の問題なんですね。
こういう現状に対して、本来、美容というのは皮膚のことが多く含まれる、だから皮膚科でも美容を標榜できるようにすべき、という声が皮膚科ドクターの中で近年、大きくなっています。
今のところ標榜科目として認められるメドはありませんが、そういうドクター達が目指すのが”美容皮膚科” ”美容内科”という世界です。
主に外科的な手術(形成)によって”外側”から美容にかかわる美容外科に対し、皮膚を中心に内側から美容にかかわる、という意味で”美容内科”という考え方が提唱されたりしています。
レディスクリニック(婦人科)で「(PMS対策としての)低用量ピルで美肌をつくる」と訴求するドクターもいますが、これも、いわば美容内科的なものと言えるかも知れません。
また、皮膚科ドクターがより積極的に関与すべきだ、という事で、日本皮膚科学会ではケミカルピーリングを患者さんに行なうにあたってのガイドラインを定めたりしています。(ゼロポジション)(次回に続く)