***はじめに
漢方は東洋の『医学』として位置づけられますが、植物生薬(オーガニック)を活用するという点で、ハーブやアロマと共通しています。
近ごろは不定愁訴(病気とは言えない不調)を訴える人が増え、それに応えるために、お医者さんで東洋医学を勉強される方も増えています。
私は薬剤師という立場から実践研究してきましたが、漢方生薬というのは、本来、女性のいろいろなツラサを軽くするために発展してきたものと確信しています。
なぜなら、同じ人間でも女性のカラダは複雑系で、男性に比べて変調や不調に鋭敏にならざるを得ない構造摂理になっているからです。
このシリーズは簡単に言えば、漢方生薬そして薬膳の‘ツボ’を知っていただき、生活に取り入れていただけるようアドバイスすることが目的です。
古くさい経験談ばかりにならないよう、美容の統計学のゼロポジション・岡本さんに必要なデータをサポートしてもらいながら進めて行きたいと思います。
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今回は初回。まず漢方の基本的な考え方を紹介します。
図をご覧ください。漢方の診たての考え方(地図)が描かれています。
あなたのポジションはどこになるでしょうか?
自分のポジションを知るためには、まず最初に体質、つまり虚証-実証(ヨコ軸)を判断する必要があります。
ひとりひとりの症状や病気にアプローチするには、ただむやみに患者さんの訴える自覚症状を聞いているだけでは何の工夫もありません。
ツラサの本態(中心)を見きわめ、どのようにアプローチ(治療)をすればよいのか決める必要があります。その時に使うのがこのような地図です。
これだけ!?とバカにするなかれ。これこそが人類の長い歴史と知恵の結晶なのです。
漢方医は、まず自分の患者さんが、この地図のどこに位置するかを頭に描きながら仕事を始めます。
つまり、最初に体質を見極め、さらに患者さん個々の体調にあわせて、最適な処方をチョイスしてゆきます。言葉を変えて言うならば、頭の中の地図をもとに、ラクになるための最短の道を探し出します。(カーナビみたいなものです)
近頃は、専門家でなくても、こうした地図を持つ必要性が出てきています。
なぜならドラッグストアのセルフコーナーでも漢方生薬が買える時代・・・便利である反面、予備知識も無しに表示された効果効能を信じて買って帰って、何の効果も感じられないという人が増えているからです。
なぜそうなのかと言いますと、例えば虚証の人に効果的な処方(生薬)を、実証の人が服用しても、たいていの場合、何の効果もないからです。時にはかえって体調が悪くなったと感じることだってあります(※)。
漢方ではこれらのことを含めて『誤治(ごち)』といいます。
誤治を防ぐためにも、一般の人であっても、ここで紹介した虚と実の地図の考え方くらいは基礎として持っていただきたいと思います。そうすることで漢方生薬をもっと身近に、もっと便利なものとして利用することができ、自分の体調と相談しながら経験を積んでゆくことで、誰だって達人になれる日が来ます。
※体調が悪くなると言っても西洋医学の副作用とは違います。漢方生薬では、もともと激しい副作用を有する薬物は伝統的に除外されてきました。したがって伝統的な使用法から著しく逸脱しないかぎり、一般に作用はマイルドで副作用というほどのものはありません。
(以下次回。虚証と実証についての詳しい見極め方法を紹介します。東洋医学研究家、薬剤師 松田昇。データサポートはゼロポジション)
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