「気」、「血」とともに、身体を巡るものに「水」があります。
「水」も外から吸収され、身体を巡り、やがて外に排出されるリズムがありますが、時として身体の部位に滞留する状態となることがあります。
「水」に関するこのような異常のことを「水滞(すいたい)」(水毒(すいどく))といいます。
水が滞留することで、やがて、その部分の「気」、「血」の巡りも妨げられて、身体に異常(不調)が起こってきます。
「水滞」には、水が滞る部位別に、以下の4つのタイプがあります。
①全身型
全身どこにも水が滞留したもので、水太りといわれるもの。
全身浮腫、下痢、めまい、夜間の頻尿などの症状があらわれてきます。
②皮膚・関節型
顔や関節などに水が滞留した場合です。
よくみかける状況に、朝にあらわれるこわばりがあります。
慢性の関節リュ-マチもそのひとつです。
③胸内型
呼吸器系に水が滞留した場合をいいます。
水様性の痰や水っぽい鼻汁が特徴です。
呼吸困難を生ずる場合もあり、ひどい場合には胸水といいまして肺に水が溜まることもあります。
喘息様の咳が続く場合もあります。
④心下型
消化器全般に水の滞留が起こる場合で、この型の特徴は胃のあたりがチャプチャプと音がしたり腸がグルグルと音がしたりする場合が多いものをいいます。
食欲不振や悪心、下痢、手足の冷えなどが出てきます。
症状からくる基準としては次のことがあげられます。
①浮腫傾向や胃部の振水音(ピチャピチャ・チャプチャプ音)
②肺やお腹に水が溜まる状態(胸水、腹水といいます。)
③朝起きた時のこわばりやおしっこの量が少ない。
④車酔いしやすい、めまいやめまい感(立ちくらみ)する。
⑤水っぽい、うすい便の下痢。
⑥極端な多尿。
その人の身体のどの部分に余分な水が滞留しているのかを突き止め、その原因を取り去ってやる方向が漢方によるアプローチとなります。
あわせて、「気」「血」も巡らせるような対策(処方)を考えます。(続きは次回)
(東洋医学研究家、薬剤師 松田昇)
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