【発ガン抑制】
ラットによる発がん抑制実験では乳がん、大腸がん、腎臓がんなどの発症を抑制することが証明されています。
学問的にいいますと、がんの発症には対内にプロスタグランジンE2、ロイコトリエンといった生理活性物質が関与し、これらが増加すると発症が促進されてしまいます。
αリノレン酸はプロスタグランジンE2などを正常なレベルに保つ働きがあります。
逆に、リノール酸が体内に入るとアラキドン酸に変化し、プロスタグランジンE2などが増加、発がんリスクを促進してしまいます。
さらにがん細胞が血液中を運ばれ、ある組織に付着して増殖する時、血小板の凝集や細胞の接着分子が深くかかわっていると言われています。
αリノレン酸は血小板の凝集を抑え、細胞接着分子を少なくし、接着能を抑えてくれます。その結果がんの転移をも抑えてくれることが動物実験で証明されています。
日頃からαリノレン酸を摂取していると、がんが発症しにくい体質になるともいえましょう。
【アレルギー抑制】
もうひとつアトピー性皮膚炎にも効果が発表されています。
もともとアレルギーはアレルゲンが侵入してくると、体内にヒスタミンやロイコトリエンなどの防御物質が働き、アレルゲンを排除してくれます。
普通ならヒスタミンやロイコトリエンなどの働きはおさまるのですが、少量のアレルゲンに対して防御反応が過剰に出すぎるとアレルギー過敏症になります。
その発症-抑制の仕組みは次の通りです。
防御物質のひとつロイコトリエンはリノール酸とαリノレン酸の両方からつくられます。
リノール酸はアラキドン酸となりロイコトリエンに変化。
一方、αリノレン酸はEPAになり、別種のロイコトリエンとなります。
αリノレン酸からつくられるロイコトリエンはリノール酸からつくられるものと比較して作用が約10分の1と極めて弱いものです。
言い換えますと、アレルギーの発症に大きく関与しているのは作用の強いリノール酸からつくられるロイコトリエンなどの生成過剰です。
アトピー性皮膚炎の治療ではリノール酸の摂取を減らして、αリノレン酸を多く含むエゴマ油や魚介類をとる様に指導して成績を上げているところが多くあります。
以上、αリノレン酸の効果が高いことは、多くの国や関係機関の報告で明らかにされています。
日常生活に使う油を切りかえてゆくのが良いのですが、今のところ、αリノレン酸主体の植物油の生産は工業的に難易度が高く、あまり期待できません。
エゴマ自体も収穫量が少なく、容易なことではありませんが、できれば新鮮なエゴマ種実を炒り、食卓におき、その都度すりつぶして食事や料理に取り入れること。
そうすることで、上記の現代病の予防の他、心筋梗塞・脳梗塞・高血圧などの動脈硬化性疾患の予防、老人性痴ほう症の予防、さらには視力回復などの健康増進効果が期待できます。 稿了(松田昇、薬剤師、東洋医学研究家)
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