暑さに弱い人の夏負け。
体は弱り、どことなく元気なく、手足はだるくて、お腹はゴロゴロ、すぐに息切れを起こす。
じっとしていてもじわっと汗がにじみ、たちくらみ。
さらに食欲はなくなり、冷たい水ものばかり欲しがる。。。
お肌もくすみ、化粧のりが悪くなるほか、カサカサしたり、荒れやすくなります。
「夏負け」というのは日射病や熱射病と違って、普通ではのびないのに、暑さの不調で参ってしまう状態をいいます。
人参(にんじん)、茯苓(ぶくりょう)、甘草(かんぞう)、大棗(たいそう)、陳皮(ちんぴ)の組み合わせは、「四君子湯(しくんしとう)」「補中益気湯(ほちゅうえきっとう)」に共通しており、どの生薬も、体の機能を良く消化吸収も良くして、元気をつけます。
「清暑益気湯(せいしょえっきとう)」というのは「補中益気湯」の処方を主に、他に夏負けを改善する生薬が組み合わされています。
以下、夏の漢方として処方されることが多い生薬を紹介します。
①人参・黄耆(おうぎ)・白朮(びゃくじゅつ)・甘草・陳皮
暑さで弱った消化器の機能を回復し、食欲を増して体を元気にします。
黄柏(おうばく)・知母(ちも)を加えて暑熱を除きます。
②葛根(かっこん)・升麻(しょうま)
肌が暑く感ずる熱を除きます。
③当帰(とうき)・黄耆(おうぎ)
これらを配合すると、体が弱って口が渇き、肌が暑くて熱の出るような時に用いると、一層元気になって熱がとれるようになります。
④そう朮・沢瀉(たくしゃ)
これらを加えると湿を除きます。
湿とは内部の湿の事で胃腸内の水分を尿として排出してゆきます。
胃内にとどまる余分な水分や下痢に対処する配合といえます。
⑤麦門冬(ばくもんどう)・五味子(ごみし)
発汗や嘔吐・下痢により体内や血中の水分が減ってしまったような時に加えると効果を発揮します。
(東洋医学研究家、薬剤師、松田昇)
コメント