最近よく薬局で買ってゆく人が多い処方に「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」というのがあります。
この処方は、漢方を代表する気剤です。
「梅核気」とも「ヒステリック」とも「用心深い性格」ともいわれるのですが、「どうも胃の調子が悪くてノドにものが引っかかっている様な感じで・・・・・」というストレス気味のサラリ-マン風の人がよく買ってゆきます。
ノドの異物感、みぞおちの膨満感や何かつかえるような感じの時、咽や顔面、四肢の浮腫に使われます。
また咳のために顔面やまぶたが腫れるときに多く用いられています。
「小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)」という処方に「厚朴(こうぼく)」と「紫蘇葉(しそよう)」を加えた処方です。
厚朴は、腸管の緊張を低下させ、横紋筋の収縮緩和、いわゆるしぶり腹で何回も少しずつ出る下痢で、残尿感の残る場合などに効果があります。
紫蘇葉は、シソの葉で、発汗・健胃作用があり、嘔吐を止め去痰鎮咳作用をもちます。
ところで薬局で「安全性の高くて悪阻(つわり)にきくお薬ありませんか?」と、妊婦さんによく聞かれます。
こういう方には、「小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)」が大変によいお薬です。
古来から嘔吐するものはノドの渇きがなく、ふつうは水をほしがりません。
ところが嘔吐しても水をほしがるのは治る前兆と言われており、ノドの渇きのない場合は胃内部に余分な水があるからだということで「小半夏加茯苓湯」が使われるのです。
突然嘔吐して胃が膨満して胃のつかえる、めまいや動悸がある場合に、この処方が用いられます。
特に妊娠悪阻の場合は臭いに敏感なので、「小半夏加茯苓湯」のエキスを水に溶かして冷やして一口づつ飲むといいですね!(ショウガの絞り汁を加えるて少量ずつだと、さらに飲みやすくなります)
そして落ち着いた頃を見計らって飲めるようになってから必要量を飲むといいですね!
胃の調子を崩してしまい食事がとれないような人にも、「小半夏加茯苓湯」はなかなかの効果を発揮するともいわれています。
夏バテがひどくてという向きも、一度試してみられてもよいでしょう。
(松田昇 東洋医学研究家、薬剤師)
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