漢方は効き目が弱く、続けて飲まないと効き目がないと思われがちです。
ところがその考えは一部正しくないのです。
たとえば「五苓散」というエキス剤の処方をご存じでしょうか?
この処方は本来は尿量減少の場合(水滞)に用いられるもので、それが原因でおこる吐気や嘔吐、下痢いわゆる、吐きくだしに用いたり、めまいや口渇、浮腫の時に使われます。
妊娠中の女性のつわりはムカムカしてツライものですね。
つわりでなくとも夏バテとか、食欲がなく何かムカムカして気分がめいってしまってというような時もありま
す。
そんな時に五苓散を服用すると、またたく間にムカムカが無くなって、スゥーッと気持ちよくなり食欲も出てきます。
まさに「ムカムカはどこへやら?」という感じでこの速効性たるや抜群です。
前回、同じような症状の時に「小半夏加茯苓湯」という処方をお話しましたが、ここでその違いをお話しておきましょう。
「五苓散」は水滞、いわゆる、みぞおちあたりで「ピチャピチャ」という音がして(振水音といいます)いる場合に有効です。
一方「小半夏加茯苓湯」は、お腹が張ってムカムカする場合には比較的効き目が顕著。
また「五苓散」は他にもむくみが出る時にも使われます。
漢方の副作用は少ないといわれていますが、人により合う・合わないがあり、場合によっては「むくみ」が出ることがあります。
そんな時にむくみを解消するのに「五苓散」を使うとよいのです。
むくんだ所が「五苓散」を飲むことにより、解毒といいましょうか、むくみがとれてゆくとされています。
次回はこの続編をお話してゆきましょう。(松田昇 東洋医学研究家、薬剤師)
コメント