薬局で子供向けのお薬でよく相談を受けるのは
風邪による症状と下痢や腹痛、吐き気や吐いたというものです。
小児の嘔吐は一種の反射運動で、延髄にある嘔吐中枢が胃腸や咽頭、舌根の刺激や
いやなものを見たり、嗅いだり、想像することにより起こるものです。
幽門部が収縮し、胃の内容物が噴門に送られ腹壁を収縮させて横隔膜を下げ
噴門が開いて内容物は食道に送られて声門を閉鎖して吐出するというものです。
嘔吐のもうひとつの役目はいわゆる防衛反応で、生理的ものでもあります。
食べ過ぎや腐敗したものを食べた等も嘔吐の原因となります。
体を動かせない乳児ほど吐物を誤嚥して嚥下性肺炎や中耳炎、外耳炎を起こすこともあります。
嘔吐は下痢とともに脱水症をおこすので水分補給をすることが大切です。
(以前紹介した「OS-1」や「アクアライト」など)
しかし嘔吐があっても機嫌が良かったり、食欲があり体重の増減がなければ正常といえます。
生後3~4ヶ月位まではよく嘔吐するものです。
以下症状に応じて対処するとよいでしょう。
①発熱を伴う嘔吐は、感冒や扁桃炎、中耳炎などの感染症の疑いあり。
一方、消化管の感染症はあまり熱は高くないことが多い。
②腹痛を伴う場合、発熱がある場合、虫垂炎を忘れないこと。
③下痢を伴う場合は消化不良や胃腸炎の疑いあり。
④咳を伴う場合は、咳をするときには小児はよく嘔吐するものです。
以上、嘔吐は症状のひとつですが、ここでは鎮嘔鎮吐に関係する生薬を紹介してみましょう。
その代表選手は「半夏(はんげ)」と「生姜(しょうきょう=しょうが)」です。
前者はアポモルフィンの中枢性の嘔吐に、後者は局所の嘔吐を抑制する作用をもっています。
代表的な処方として次のふたつがあげられます。
★小半夏湯(しょうはんげとう、半夏・生姜)
シンプルですが効果があります。
★小半夏加茯苓湯(小半夏湯に茯苓(ぶくりょう)を加えたもの)
もうひとつ「水逆」というタイプがあります。
いわゆる水を飲むとすぐに吐いてしまうというもの。
口が渇いて水をたくさん飲んでしまい、しばらくして多量の水をどっと吐いてしまう。
吐くとまたのどが渇く、飲むと吐くのくりかえし。
消化管や胃や腸内には水分があるにもかかわらず、嘔吐で脱水が伴います。
★こんな場合に、以前紹介した「五苓散(ごれいさん)」の出番です。
いずれも薬局にありますので、容易に手に入れることができます。
(東洋医学研究家、薬剤師、松田昇)
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