ここ1・2年はメタボという言葉とともに肥満対策のお薬が各社から発売され、
この分野での漢方の売行きは目を見張るものがあります。
私が勤めている薬局で買ってゆく人の多くはTVCMをみて・・・という人がほとんど。
しかし、最小限の知識だけでも持って、自分に合った適切な処方を選択しないと効果は表れにくいものです。
メーカーは昨年来、肥満でも体質に合わせて品揃えをしてくるようになりました。
消費者に目を養ってもらえる意味でも、体質によるおすすめは、とてもよい傾向です。
今回と次回は、肥満(症)体質の人に役立つお話。
団塊の世代が60歳を超えつつある今、老後を病気無く過ごすために、一番避けたいのが寝たきりや麻痺症状です。
自分で食べられない、歩けない、体が思うように動かないなど。
それには日々の血圧管理、血液状態の把握(高脂血症・糖尿関連数値、たとえばHbA1C値など)をしながら、
毎日の規則正しい食生活、適度な運動(散歩など)、リラクシゼ-ションなどでストレスをためないことも重要です。
一言で肥満と言っても、その原因によって
・単純性の肥満
・内分泌、視床下部系の原因のタイプ
・遺伝や薬剤類などが原因のタイプ、
などに分けられます。
肥満の解消についてはカロリーコントロールはいうまでもありませんが、ここでは
肥満の随伴症状、合併症を列挙しておきましょう。
頭痛、目まい、肩こり、動悸、息切れ、暑がり、多汗、浮腫(むくみ)、全身の倦怠感、
月経異常、動脈硬化症、糖尿病、高脂血症、脂肪肝、胆石症、痛風、便秘症、皮膚病、
骨や関節の疾患など、
ほとんどの病気に関与します。
私の専門である東洋医学では、肥満の解消というダイレクトな効果ではなく、
自律神経の安定化、血流障害の正常化、常習便秘の解消、体内貯溜水分の排出等の方向で体を正常状態に戻し、肥満が解消しやすい体内環境を作ることが主眼となります。
漢方で肥満に取り組みたい方は、
食の異常、水の異常、血に異常など漢方的な観点から自分の状態を整理しながら、それに合う処方を説明してもらい、選択を誤らないようにしていただきたいと思います。
せっかく服用し始めても、効果が出なければ役にたたないばかりか害のあることも、たまにあるのですから。
この続きは次回に。
(東洋医学研究家、薬剤師、松田昇)
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