前回の続きで、肥満の漢方薬についてお話ししてゆきます。
最初は 「過食」 について。
過食は食の消化がよい状態。
なので、消化吸収を抑えるために、食べたものを滞ることなく便として出すことがポイントとなります。
このタイプの肥満体質は多くの場合、 「実(証)」 であり、 「熱(証)」 であります。
このタイプの肥満を解消するために
「柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」や「桃核承気湯(とうがいじょうきとう」などたくさんありますすが、
特に「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」がたくさんの製薬会社から発売され、一般薬として店頭に並んでいます。
参考として、防風通聖散の主なブランドを以下に列記しておきます。
コッコアポ、新コッコアポ(クラシエ)、
ナイシトール(小林製薬)、
和漢箋(わかんせん)、ロート防風通聖散錠(ロート)など
防風通聖散を利用するときのポイントは、薬だけに頼らず、運動や食事療法を組み合わせること。
効率よく内臓脂肪を減少させるには、薬と食事と運動の組み合わせが必要だと認識してください。
人により、防風通聖散は便が柔らかくなったり、人により下痢の起こる場合もあり、注意が必要です。
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「水」の異常による肥満があります。
消化吸収された栄養素や水が有効に消費されなくて、体に蓄積された結果肥満になるケースです。
この場合は貯溜物を体外に排出させるために「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」「五苓散(ごれいさん)」などの利水効果のある方剤が使われます。
最近では「防已黄耆湯」も一般薬として店頭で増える傾向にあります。
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次に「気」の異常。
精神不安や焦燥・孤独・憂鬱などの原因での過食、あるいは体重の減少が起こります。
この場合「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう」「加味逍遥散(かみしょうようさん)」などが用いられています。
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最後に「血」の異常による肥満。
女性の場合、肥満に月経障害や血管運動神経の異常や鬱血などの症状が伴っている場合、お血対策として「桂皮茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」などの
駆お血作用のある方剤を用います。
(東洋医学研究家、薬剤師、松田昇)
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