いよいよ鼻炎の患者さんが増えてきました。
「今年は花粉の飛びが普通じゃない」ということで、1月から抗ヒスタミン剤を飲み始めた人も例年より多く見受けられます。
アレルギー性鼻炎はくしゃみや鼻水の多いことを特徴とし、東洋医学では「湿」を取り除く剤を主に使ってゆきます。
素人の人でも簡単に選べるもので、ファーストチョイスにあげられるのが「小青龍湯 (しょうせいりゅうとう)」。
この中身は「麻黄湯」という処方を、「湿」証の方向けにアレンジしたものといえます。
いわゆる「湿」過多証といいますか・・・湿が多く、薄い鼻水やクシャミを連発する人にピッタリの処方です。
しかし、同じ鼻炎でも、鼻がつまることの方がつらい人もいます。
そんな人には「葛根湯(かっこんとう)」に「辛夷 (しんい)」と「川きゅう」を加味した「葛根湯 加 川きゅう辛夷」。
鼻水はさほどでもなくて「ゾクゾクと寒気がする」という場合には、温める処方「麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)」を用います。
血圧の高い方や汗の出やすい人には「麻黄」を外した「桂枝湯」という処方を。
一方、「熱証」といえる方には「荊芥連翹湯 (けいがいれんぎょうとう)」。
場合によっては、先出の「小青龍湯」に「桔梗(ききょう)」と「石膏(せっこう)」を加える手もあります。
とにかくクシャミが・・・という人には、止まらない咳に効を発揮する「麦門冬湯(ばくもんとうとう)」。
そして特に鼻づまりがひどい人には「辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)」。
これは蓄膿症(ちくのうしょう)の方にもよく使われる漢方として有名です。
ほかに、「寒証」で体の弱っている人には、まず、体を普通の状態にもどす「十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)」を用いることもあります。
いずれにしても、漢方を選ぶ場合にはそれぞれに選択のポイントがありそれに基づいて処方を決めてゆきますと、自分の体に合った処方を選択してゆくことができます。(東洋医学研究家、薬剤師、松田昇)
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