少し暖かくなってきたとは言え、
インフルエンザをはじめ、風邪をひいた時の対処方法について整理しておきました。
東洋医学では合方(がっぽう)という使い方があります。
例えば、おなじみの「葛根湯(かっこんとう)」というのがありますね。
風邪をひいて三日以内に飲めば風邪は吹っ飛ばせる便利な処方。
しかし、風邪をひいて、いろいろな症状が伴う場合、「葛根湯」だけでは対処しきれなくなります。
そういう時に、「葛根湯」をベースとして、いくつかの生薬を加え(合法)、幅広く対処するのです。
【発熱・のどが赤くて痛い、ものが飲み込めない、まだ寒気がする時】
のどが痛い時に用いる「桔梗湯(ききょうとう)」合わせて服用すると、さらに範囲が広まりより効果的になります。
この処方を「葛根湯加桔梗石膏(かっこんとう・か・ききょう・せっこう)」と言い、葛根湯に桔梗湯と石膏を加味(かみ、=合法)したもの。
【風邪の症状以外に吐き気がある時】
感染性の胃腸炎かと思いきやめまいや動悸・嘔吐・吐き気がすごくてという時、
特に嘔吐は少しづつ何回もくるというやっかいな時には、
「葛根湯」に「小半夏加茯苓湯(しょうはんげ・か・ぶくりょうとう)」という処方を加味します。
この処方を「葛根湯加半夏湯(かっこんとう・か・はんげとう)」と言い、熱や嘔吐のある風邪の時に大変に効果的です。
「半夏(はんげ)」には鎮痛・鎮痙・鎮吐作用があり、腸管内の輸送促進作用があるともいわれています。
別名「つわりの妙薬」ともいわれています。
【咳が出て、のどがかわき、鼻炎症状や多汗などの症状がある時】
「葛根湯」に「川芎(せんきゅう)」と「辛夷(しんい)」を加えた「葛根湯加川芎辛夷(かっこんとう・か・せんきゅう・しんい)」を使います。
(東洋医学研究言え、薬剤師、松田昇)
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「石膏(せっこう)」
軟石膏(やわらかいせっこう)で繊維状の含水硫酸カルシウム。
解熱、鎮静止渇薬としてぜんそくや胃痛、糖尿にもよいとされています。
「川芎(せんきゅう)」
センキュウの根茎で鎮痛剤として使われています。
温性の駆瘀血剤(く・おけつざい)、補血、強壮剤として貧血や冷え性にもよいとされています。
「辛夷(しんい)」
モクレン科のタムシバの蕾(つぼみ)。
鎮静鎮痛薬として頭痛や頭重をともなう鼻炎によいとされています。