4000年以上前、四大文明は砂漠地帯周辺で生まれました。
古代の人達は、砂漠=乾燥=死を恐れ、「潤いと生」を求めていました。
生と潤いのシンボルであるオアシスと砂漠周辺の植物、その植物が持つ自然の再生力を精油や膏薬として利用したり、服用することが漢方(生薬)、ハーブ、アロマそして現代医学の起源となったのでしょう。(アロマ歳時記12月14日)
はるか昔の話ですが、植物の治癒力・再生力を活用するイメージは、現代のオーガニックスタイルと大きな違いは無いようです。
歴史の話に戻りますが、このようなオーガニックスタイルはシルクロード、中国を経て日本に渡来します。
しかし、砂漠地帯と違い、多湿な日本。海を渡ってきた時には乾燥処方が忘れられてしまったようです。
日本の漢方生薬で“乾燥を防ぐ=女性がキレイになる(美容の)考え方”が発展しなかった理由は、そのあたりにありそうです。
←クレオパトラの入浴シーンのイメージです。
誰もが思い描くステレオタイプなイメージですが、優雅に見えるシーンの中に、忍び寄る乾燥との“命がけの闘い”を見て取れるでしょうか。(バラの花を浮かべ精油を身にまとう、入浴中のエフルラージュ、入浴直後のカラダ拭き)
乾燥は死である前に、彼女のような人にとって「美を失うことは権力を失うこと」を意味します。
入浴行為自体、現代の私たちが考えているようなカラダの洗浄(清潔)といったレベルに止まらない、乾燥を防ぐ=美と健康を維持する、という特別な意味があったのでしょう。
最後に、もっと時代は新しくなりますが、みなさんはグレース・ケリー(1929-1982)をご存知ですか?
本名はグレース・パトリシア・ケリー 。ハリウッドスターからモナコ公国の王女様になった女性です。
1950年代、数々の人気映画に出演し、気品を湛えたその美しさは「クールビューティ」と呼ばれました。
その名前、Graceには”優美”という意味の他、”潤い”という意味もあります。
そう! 英語で、潤いは美、なのです。
古代から現代に至るまで、人類は環境や老化とともに忍び寄る乾燥と闘い、女性たちは潤いを保つことで美と健康を維持してきたのではないでしょうか。
ここに薬草(オーガニック=アロマ、ハーブ、生薬など)が果たすべき美容そして健康に対する役割があります。
(東洋医学研究家、薬剤師 松田昇。ゼロポジション)