病気にはそれぞれの要因といいますか、発生すべく理論というものがあります。
漢方医学的見地からいいますと、病気のそもそもの要因に毒素を体内に蓄積することが内的要因となりそこに外的要因が相まって起こるというものです。
この要因となる体内の毒素を漢方医学的に三つに分類しています。
それはお血、食毒、水毒になります。
ではひとつ目の「お血」とはなにか。以前にも説明したかと思いますが、また違う角度から掘り下げてみたいと思います。
即ち清浄でない汚れた血液で、毛細血管内に停滞して循環しない血液をいいます。
解剖学的にはお腹の下腹部や骨盤腔内に沈滞しているとされています。
次にふたつ目の「食毒」とは?
日頃の飲食による中毒で、いわゆる自家中毒と称するものです。
これは新陳代謝障害をおこし内的要因となるものです。
三つ目の「水毒」」はこれも以前にもお話しましたが、腎臓の排水障害によって体の細胞内にもろもろの液体の過剰的滞納した状態をいい病因となるものです。
漢方の医学的見地からしますと治療方法は、これらの諸毒を駆逐する事で予防となりひいては治療法となるものなのです。
ひとつ目の「お血」についてさらに突き詰めてゆきますと、お血は汚れた血液で、生理的ではなく非生理的に変化したもので生理的血液とは異なるものです。
すなわち血液の機能を失しただけでなく、人間の体に諸々の障害を引き起こさせます。
さらにこの血液は病原性菌に対する抗菌力も失しているのです。
以上のような血液の存在は病気を防ぐためには何の役のも立たないものなのです。
そればかりか細菌に栄養を与えて格好の培地ともなりかねません。
その証拠に産後お血の多いご婦人に生殖器の炎症疾患を起こしやすいのはそのせいといわれています。
「お血」の原因といえば、まず月経は女性の定期的「お血」排出作用ともいえるもので、それが月経閉止で阻害されると排出されるべき「お血」が体内に蓄積して要因の一つとなります。
ふたつ目に産後のお血ですね。
分娩後は量の差こそあれ妊産婦のほとんどがお血を残留してしまい、悪露流化わずかな者ほど体内に残るお血の量は多いものです。
一方男女共通の観点からしますと、胎内で母体から受け継いだお血は子孫には終生お腹のなかに留まるもので、親子は同じ体質をもっています。(松田昇 東洋医学研究家 薬剤師)