●ゼロポジション●
前回まで3回連載でごんちゃん(編集局)が紹介したヘナ。一般的には安全イメージがありますが、最近、ネガティブな情報が相次いでいます。
国民生活センター(内閣府)に寄せられた消費者からの「ヘナで白髪が黒く染まるというので使用したところ、かぶれが発生した」という相談により、商品テストを行った結果、酸化染料が含まれている疑いがありました。
はて? ごんちゃんの報告では、(本物の)ヘナは赤みがかった(茶色)に染まるということだったけど・・・
実は、一部メーカーが、ヘナだけでは染色に時間がかかり赤みがかった染め色になるため、ヘナにプラスして、本来、医薬部外品の認可を受けて販売すべき成分(p-フェニレンジアミン)を配合して「黒く染まる」と訴求していました。にもかかわらず、そのことをきちんと表示せず、ヘナなので安全だと思って使った消費者が、かぶれやアレルギーを起こしてしまったという事例です。
また、ヘナの配合比率は7~8%ないと効果がありませんが、わずか0.5%程度で「ヘナ配合」と表示していたメーカー(4社)に公正取引委員会から景品表示法の優良誤認にあたるとして排除命令が出されました(2007年6月26~27日報道)
いずれも、「本来のヘナ」の働き(取り扱い方も含めて)を知らない消費者が多いことに目を付けて、メーカー(業者)がヘナの天然由来=安全イメージを悪用したということです。
こんな記事に触れるにつけ、化学物質が含まれているから×というイメージまで先行してしまいがちですが、ヘナと対比されるカラーリング剤(いわゆる化学染め)には、誰でも簡単にスピーディにカラーリングができる、自分が望む髪色に染める、などのたくさんのメリットがあります。
大事なことは、ヘナにせよ、カラーリング剤にせよ、それぞれのメリット・ディメリットを理解すること、正確な知識を身につけること、その中から今のご自分に合った「品質のよい商品」を選択(目利き)することだと思います。
「ヘナとカラーリング剤」をテーマとして、身近な化学物質のことも含めて、消費生活アドバイザーの崎山さんに2回シリーズでレポートしてもらいました。今回は、1回目のレポートです。カラーリング商品を目利きするための基本情報としてお読みいただければ幸いです。
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【ヘナについて】
ヘナは北アフリカ、西南アジア原産のミソハギ科の低木です。
葉を乾燥させ、粉末にしたものを水で練ってペースト状にし、古代から染色に使われていました。あのクレオパトラもヘナを利用して髪、唇、爪に色づけしていたといわれています(マニキュアの起源ともいわれています)
日本名を指甲花(しこうか)といい、染毛以外、皮膚病の予防や打撲・外傷の塗り薬として使われていました。
インドでは現代でも、「美・豊穣・幸運を司る女神ラクシュミー」が最も好む植物と信じられ、慶事には、ヘナで手足や顔に美しい模様を染め付ける習慣があります。
【ヘナの染毛メカニズム】
ヘナの葉に含まれる色素(LOWSONE=ローソン)は、植物色素キノン系の派生であるナフキノン類に分類される赤色色素です。この色素はケラチンに絡みつく性質を持っています。毛髪の主成分であり毛髪内に存在するケラチンにこの色素が絡みついて染まるのです。