前回記事:夏バテ対策 漢方と薬膳では(8月5日)
ドラッグの店頭に立っていますと、梅雨明け頃から不眠を訴え入眠剤を求めにくる人が激増します。これこそが夏バテの前兆ともいえるでしょう。
<夏バテ対策の基本>
その人その人の体質により違いますが、不眠、食欲不振、疲労、倦怠感、頭痛、吐き気、めまいなどの症状があげられます。
日頃からの身体の酷使のツケが、この時期に一気にあらわれます。
対策の第一は規則正しい生活リズムに戻すこと。
対策の第二には冷たい清涼飲料水やビ-ルのガブ飲みはさける事。(大量の冷水が一挙に注入されると胃腸は悲鳴ですね!)
<不眠と大棗(たいそう)>
ところで、不眠に対する漢方生薬には特徴があるのです。
ほとんどの処方中に「大棗(たいそう)」(ナツメ)が多用されています。
「大棗」はクロウメモドキ科の植物で、古書「神農本草経」には「百薬を調和する働きがある」と記されています。
つまり、処方のなかに「大棗」を加えることにより、他の生薬成分とほどよく調和して穏やかなまとめとしての働きをするのです。
「大棗」自身も糖分だけでなく、タンパク質、タンニン酸、カルシウム、ビタミンC等を含む栄養価の高いフルーツです。
効能面では体の中の酸とアルカリのバランスの崩れを修正し、さらに精神を安定させる作用があるのです。「大棗」は蜂蜜とともに数少ない精神安定剤といえましょう。(蜂蜜の話はいずれ・・・)
<夏バテのかんたん薬膳>
★麦飯と山芋の「麦とろ」ごはん
山芋のムチンはタンパク質を分解促進し、体内吸収を助けます。
麦飯にはビタミンB群が豊富に含まれています。
ムチンは、オクラやモロヘイヤなど、夏が旬のヌルヌル野菜にもたくさん含まれています。
★大豆もやしのゴマ油のおひたし(または炒め物)
発芽状態(スプラウト)なので、通常より酵素の活性が高まるなど、大豆もやしの栄養効果は優れています。(スプラウトにはこんなのもあります。)
★疲労や倦怠感のある時にはビタミンC、ビタミンB1を積極的にとること。
ビタミンB1の王様はウナギとレバーです。
次回(③)は漢方から少し離れて水分補給について。(薬剤師 東洋医学研究家、松田昇)
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