11月7日の話の続きとして、石けん(固形タイプ)洗顔の目利き話を紹介します。
石けんづくりの道一筋のマイスター、寺田プロにお話をお伺いしました。
◆人類最古の化学物質
石けんの歴史は5000年。人類最古の化学物質です。
古代ローマ時代には、コインを入れると石けんがコロッと出てくる自動販売機がつくられていたくらいです。
石鹸=天然イメージが先行しますが、古い時代からずっと、化学反応で作られた化学物質なのです。
①動植物油脂と苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)水溶液を、釜で焚いて石鹸化(けん化)する方法(寺田プロがこだわる製法です。)
②①からグリセリンを取り除いて、純度の高い脂肪酸(石鹸素地)を原料として作る方法
③工業的に脂肪酸(酸)と苛性ソーダ(アルカリ)を反応させて製造する方法
『石鹸の製造』というプロのレベルでは、
①は職人(手工業)の世界、③は大量生産の世界、②はその中間、とおおまかに言うことができます。
私たち素人でも①や、②でできた石鹸素地を使って『手づくり石けん』を作ることはできますが、見た目、固さ、香り、洗い上がりなど・・・どれもプロの技術には及びません。
◆手づくり石鹸の方が良いという人がいる理由は?
乾燥が進んだ人は『しっとり』した洗い上がり、脂性が気になる人は『すっきり・さっぱり』した洗い上がりが好みです。(それぞれ約30%)
しかし実は『どちらも必要』と考えている人が一番多いのです。(約40%)
特に、かくれ乾燥肌(ドライ&オイリー肌)の人には『さっぱりしながら、しっとりするもの』が必要です。
『しっとり』『さっぱり』にかかわる石けん成分は次のようになります。
★脂肪酸(洗い成分)の純度が高いほど、洗い上がりは『さっぱり』した感じになり、
★グリセリン(保湿成分)が多いほど、『しっとり』した感じになる
(特に脂肪酸純度が100%に近いものは、洗浄力が強いので、洗濯用の石けんとなり、洗顔石けんには向いていません。)
石けん②や③はグリセリンが取り除かれており、『さっぱりタイプ』となります。
石けん①にはグリセリンが(自然に)残っていますから、『しっとりタイプ』になります。
手づくり石けんは、①の作り方(①に近い作り方)が多いため、グリセリンの作用でしっとりする石けんが出来上がるという訳です。
◆なぜ、保湿作用のあるグリセリンを取り除くのでしょうか?
けん化した素の石けんにグリセリンが多く残っているほど、固形になりにくい(製造に手間がかかる)ため、食塩の添加によってグリセリンを取り除きます(塩析)。
ですから、石鹸素地や脂肪酸原料の石鹸(②、③)は、概して洗浄力が高く『さっぱりした』洗い上がりなりますが、そういった石けんは乾燥が進んだ人(かくれ乾燥肌の人も含めて)には洗浄力が強すぎます。
という理由から、乾燥寄りの肌質の方には①の製法の石けんが良いということになります。
次回(11月14日)。(ゼロポジション)