食品から摂取する脂肪酸(油または脂)には大きく分けて4種類あります。
そのうち主に植物・魚油にかかわる3種類を書き出しました。
①飽和脂肪酸、オレイン酸(一価不飽和脂肪酸)(オメガ9)
動物性食品やオリーブ油、バター、牛乳に多く含まれています。
②リノール酸(オメガ6)
主として穀類、マーガリン、マヨネーズ、ドレッシングに含まれる。
③αリノレン酸、EPA、DHA(オメガ3)
主としてエゴマ油(シソ油)魚介類(さんま、いわし等)に多く含まれる。
キラリ発見では、エゴマの種実に豊富に含まれるオメガ3のαリノレン酸を積極的に摂ることを提案しています。その理由を、かんたん薬膳の松田さん(薬剤師、東洋医学研究家)に解説いただきましょう。
【現代人の食生活】
図でわかるように現代人はリノール酸中心。特に、外食が多く脂っこいものが好きな人はリノール酸中心の食生活を送らざるを得ません。
もちろん他の脂肪酸とバランス良く摂取される限り特に問題はありません。しかし、あまりにリノール酸に偏り過剰摂取になると、動脈硬化促進、発ガン促進、アレルギー促進といった、いかにも現代病といった疾病群のリスクを負うことになります。
近年、オリーブ油やキャノーラ油が人気ですが、これらはオレイン酸の含有率が高く、結果、リノール酸に偏らないようにできるからです。
【ゴマサプリメントにはリスク】
人気のゴマ油はリノール酸が多く、サプリメントでの摂取は、セサミン等の有効性以前にリノール酸を過剰摂取してしまうリスクが専門家に指摘されていることは知っておくべきでしょう。
もちろん普通にゴマを食べている分には何の問題もありません。むしろオススメです。
しかし油だけカプセル化したような高度に加工された食品にはそういったリスクが付きまといます。
何事も過ぎたるは及ばざるが如しです。
【バランスよい食生活のために】
これらの現状を考え合わせると、第3の油としてのαリノレン酸を今まで以上に意識して摂った方がよいという結論になります。
エゴマの種実には45%(皮付き比)の脂肪酸が含まれ、そのほとんどがαリノレン酸と言われています。(可食部100g中64g(皮なし比))
よくご存知のEPAやDHAは魚の油ですが、αリノレン酸は、体内でEPA(エイコサペンタエン酸)→DHA(ドコサヘキサエン酸)の順に代謝されます(変化します)。
そして各段階で生理活性作用がありますから、結局、エゴマの種実を食べることは青魚を食べることと同じことになります。
『畑の肉』とは大豆のことですが、エゴマの種実は『畑の魚』と表現してもよいくらいです。
そういった理由でエゴマの種実をうまく食生活に取り入れていただきたいものです。
続きは次回(12月26日)。科学的に解明されてきたαリノレン酸の生理活性作用について紹介したいと思います。(松田昇、薬剤師、東洋医学研究家)