春から夏へ・・・いよいよ季節の変わり目。疲労蓄積も多いことでしょう。
これから日本特有の湿度の高い梅雨時期に入ります。
疲労を素早く回復して暑い活動的な夏に備える体力をつけましょう!
肉体的・精神的な疲労に用いる補中益気湯(ほちゅうえっきとう)についてお話してゆきましょう。
①疲労の回復に
「手足がだるい」「体がしんどい(えらい)」というような時。
「補中益気湯」は虚弱な人向けというイメ-ジが強いですが、スポ-ツマンや関取、
例えば、掛布選手や二代目若乃花の様な頑健な人も疲れた時に用いたものです。
急性疲労というべき疲れた時の一服でもよいのです。
これが効きます!
しかし疲れていない人が、元気になるために服用してもあまり意味がありません。
労働過多の連続で疲労回復のいとまがない場合、体力の回復まで続けるのはおおいに意味があることです。
②体力の低下に
夏風邪や感冒(インフルエンザ)の一応治癒したと思った時の
「体がだるい」「手足がだるい」「目がさめても体がだるくて起きられない」「すぐに疲れる」
「病気が治癒して退院したものの体力の回復がいまひとつで出勤できない場合」などに使います。
ただし、食欲不振や嘔気などのある時には「六君子湯※」の方がおすすめです。
これから暑くなり、湿度の高くなる梅雨時期や夏負けでだるくて疲れが取れなくて仕事がはかどらないなど、そんな時には効を奏します。
また妊娠中などによくおこるのですが、血中の水分が多くなり低蛋白血症、貧血での立ちくらみ、耳鳴り、つわりの後の栄養障害などにもいいですね。
また病院でもらうお薬、最近はなんでもかんでも消炎剤や抗生物質にたよる医者の多いですが。(昔の葛根湯(かっこんとう)医者と同じかも・・・)
それらの副作用防止や、胃腸障害、肝障害、貧血予防に幅広く使うことができるので重宝されます。
③アトニー体質
消化管筋肉の緊張低下・運動低下による食欲不振や弛緩性の便秘、腸内ガスの排出されない場合の腹満などにも効果があります。
また、眼精疲労や子供が視力回復訓練を受けた後など。
他に尿や大便の失禁、膀胱筋肉の収縮低下によりおしっこが飛ばないなどの場合にも用いられます。
(東洋医学研究家、薬剤師、松田昇)
※「六君子湯」
君子湯とは、体力を補う君子のようなお薬という意味。
「四君子湯」(人参(にんじん)・白朮(びゃくじゅつ)・茯苓(ぶくりょう)・甘草(かんぞう)の四味に加えて、嘔吐や悪心に効果のある半夏(はんげ)と陳皮(ちんぴ)をプラスしたもの。