【京都のおばんざい】
創業80年を超える老舗の青果店で育った姉妹が、「惣菜などを作って売って欲しい」というお客さんのニーズにこたえ、新しい八百屋の販売スタイルとして今年2月に出店したのが市文字屋與三郎(いちもんじや・よさぶろう)さん。生家は京都鞍馬口の八百屋さん。
京都御所の西側にあります。
今回は市文字屋與三郎さんにお伺いし、社長 森本千恵美さんにお話をお聞きしました。
1階は森本社長自身が毎日京都市場で吟味して仕入れる果物や産直の野菜、社長の妹さんが旬の野菜で作ったおばんざいやお弁当、野菜や果物で作ったジャムやゼリーなどを販売。
2階はカウンター席、3階はお座敷になっていて、野菜がメインの食事やスィーツを食べることができるようになっています。
アポイントなしで突然訪ねてしまったにもかかわらず、歓迎し、快くお話くださいました。
森本社長の、野菜や果物に対する熱い思い、郷土に対する熱い思いをお聞きします。
【おばんざい、ふだん着の京都のおかず】
京都ではおばんざいは、ふだんの日のおかずのこと。
おばんざいには京都の食の伝統が受け継がれています。
しかし、京都に生まれ育った者として実感するのですが、おばんざいというものが失われつつあります。
何としても伝統を失わずに守ってゆきたいですね。
おばんざいでは、野菜ひとつとっても捨てるところがなく、エコにもつながります。
漬物を炊いたりしますし、本当に捨てるということがないですから。
京都の料理は、京料理だけでないと言うこと。
おばんざいもあると言うことを他の土地の人にも京都の人にももっと知って欲しいですね。
おばんざいは体にもいいし、京都の素晴らしい文化なので、京都から発信していくべきではないでしょうか。
お店でお出ししているものは、決して特別なものではないんです。
家で母親が作ってくれていた、まさに、家の晩御飯を、そのままお客さんに出したら喜ばれたので出しているだけ。
例えば同じ2000円使うとしても、肉なら食べたらすぐおしまいですね。
でも、例えばタケノコなら、味噌汁にしたり、漬物にしたりして、さらに残りを水につけて保存しておけば、また炒め物に使ったり、と一ヶ月は楽しむことができます。
スーパーでは捨ててしまうところも含めて2000円になりますが、同じ2000円をおばんざいに使ったら、捨てるところがないので、あまったお金をまた別の意味あることにまわすことができますよね。
昔から京都の人たちは、そうやって、またそういう考え方で日々暮らしてきました。
(次回、続きはあれこれリサーチ8月28日)
後記
森本社長さんのお話を聞いている間、ずっと「もったいない」という言葉が頭の中で響いていました。
もったいないという庶民の感覚が文化として受け継がれてきた京都。
派手さは一切無いけど。そういう目で京都の街並を見渡すと、またそれまでと違った風景が見えてくる感じがします。(HANADANGO)
八百屋&八百屋カフェ 市文字屋與三郎
〒602-8017
京都市上京区西出水町110 (地下鉄烏丸線丸太町駅から徒歩8分)
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